久々に中学校の友人と会ったら大変なことになった

中学時代と言えば、今から数えて何年前になるだろうか。

…すぐには思い出せない。それくらい昔のことだ。

そんな中学時代の友人2人(A,Bとする)から、突然連絡がきた。

「久しぶりに3人で遊ばない?」

嬉しかった。長い年月を経ようとも、友は友なのだと。

3人で予定を合わせ、土曜日に会おうということで話は纏まった。

当日、私は集合場所へ向けて車を走らせた。

私は居住地を転々としていたが、AとBは地元を離れていなかった。

そのため、私が2人のもとへ向かうことになったのだった。

集合場所につくと、当然かもしれないが既に2人はそこにいた。

AとBを車に乗せ、どこに行こうかと話していた。

…やはり、皆考えることは同じだった。

「母校に行きたい」

私たちは早速母校へと向かうことにした。

正門までの長い坂道、来客用の広い駐車場…。

何もかもが懐かしく感じた。

…だが、楽しいのはここまでだった。

Aが突然、近くの林の中をじっと見てこう言ったのだ。

「何かいる…」

その神妙な面持ちは、今でも忘れられない。

いつものような、明るくて少し抜けていたAの顔ではなかった。

私とBは一瞬戸惑ったものの、Aの見ている林の中に目を向けた。

…そこには、確かに「何か」がいた。

上手く言葉では表せない。ただ…

すぐにアレは「見てはいけないもの」であるのだと全員が感じ取った。

幽霊だとかお化けだとか、そういう子供騙しのかわいらしいものじゃない。

この世の怨念だとか、呪いが具現化したような…

どす黒い「負の塊」がそこにはいたのだ。

私たちは全員で目を合わせ、

「この場にいるのは危険かもしれない…まだ明るいけど今日はもう帰ろう」

と決めたのだった。

離れるのが怖かった私たちは、ひとまずAの家に向かうことにした。

地元を離れていないものの、Aはアパートに一人暮らしだった。

ほどなくしてAの住むアパートについた。

Aの部屋は3階だった。

階段を上がり部屋の前についたとき、私たちは絶句した。

部屋の前に、黒い瘴気のようなものが漂っていていたのだ。

声を上げることもできず、私たちは一目散にその場を逃げ出した。

アレは一体何なのか、なぜ私たちにはアレが見えているのか、

そういったことは考える余地もなかった。

あの時はただ、ひたすらに恐怖が襲っていた。

どれくらいの時間が経ったのだろう。

いつの間にか隣町の商店街付近まで来ていた。

そこでBが突如として声を上げた。

「そういえばこの商店街には、霊媒師みたいな人がいるって聞いたことがある…」と。

藁にも縋る思いだった。冷静になった今振り返ると、寺だとか神社だとか、

そういった力を借りたほうがよかったのかもしれないが…。

如何せん当時の私たちには余裕がなかった。

私たちはその名も知らぬ霊媒師のもとへ駆け寄った。

霊媒師というか、封魔師とでも呼んだ方がいいだろうか…?

とにかくそういったことを生業としているそうだ。

その封魔師は、私たちのことを見るや否や、

「動くな。今から鎮める」とだけ言い、呪文のようなものを唱え始めた。

すると、私たちの影から、林の中で見つけたあの黒い塊が抜け出していった。

これは本当に現実なのだろうかと、恐怖が体の中を支配した。

しかしその恐怖は一瞬で消え去り、

いつの間にか黒い塊は見えなくなっていた。

アレは本当に何だったんだろうか。

封魔師は教えてくれなかった。

お代はいらないからと、そそくさとその場を去っていった。

あっけにとられ、呆然と立ち尽くしていた私たち。

しばらくして少しずつ落ち着きを取り戻した私たちは、

せっかくだから気晴らしに商店街を探索しよう、と決めた。

辺りは少しづつ薄暗くなっていた。

先ほどまでのことを必死で忘れようと、私たちは商店街の中を歩き回った。

私は余裕が出てきていた。もうあの塊はいないんだと、ホッとしていた。

多分それは、AもBも同じだったのだろう。

そろそろ帰ろうかと、商店街を離れ近くに停めていた車に向かっていた。

なんだか不思議な体験をしたなという思いを馳せながら、商店街の方へ振り向いた。

すると再び、恐怖が私を支配した。

私の目の先に、あの黒い塊がいた。

もう何も考えることはできなかった。

私の記憶は、そこで途絶えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

という夢を見ました。